虫歯(う蝕)の原因

お口の中には、たくさんのばい菌(細菌)がいます。その中のミュータンス菌、ラクトバチラス菌が虫歯(う蝕)の原因と言われています。
この虫歯菌が食べ物のなかの砂糖を栄養に、歯の表面にネバネバした物をつくります。
そのネバネバした物の中に虫歯菌や他のバイ菌が住み着き、どんどん増えていきます。
これが歯垢(プラーク)といわれるものです。
歯垢中の虫歯菌は食べ物の中の”糖分”を材料にして”酸 “を作り、次第に歯の表面のエナメル質を溶かしはじめます。そして進行し穴となり虫歯となります。
さらに歯の質(免疫力)が弱ければ、より虫歯になりやすく、進行することになります。
虫歯(う蝕)の進行状態/あなたの虫歯はどの段階?




虫歯の進行状態に応じた治療方法
浅い虫歯(C1〜C2)

治療回数1〜3回
保険内のコンポジットレジンという白い詰め物で、虫歯を削り取った部位を整えます。
前歯も奥歯も、同じ様に治療できますが、材料的には劣化しやすく、着色する事があります。
深い虫歯(C2)その1

治療回数1〜3回
感染していた歯質を除去した後、神経を保護するための覆罩裏装材にて覆います。
【歯髄覆罩について】
自費治療の場合、保険のものに比べて神経の親和性があり、より強固な劣化しにくい材料を選択します。また、抗菌薬(3mix-mp)、Doc’s bestやレーザーを使用する事によって、必要以上に歯を削らずに済む事があります。
「ドックスベスト」について詳しくはこちら >>

前歯の治療では、白いコンポジットレジンにてつめる事ができますが、色があまり合わず、着色しやすいため、自然感は出にくいです。

自費の材料の利点を生かし、必要以上に歯質を削る事もないため、予防効果も高いです。
【治療方法】
ハイブリットレジン、ダイレクトボンディング法、セラミックインレー、ジルコニアインレー
深い虫歯(C2)その2

治療回数2〜4回
歯髄覆罩
感染していた歯質を除去した後、神経を保護するための覆罩・裏装材にて覆います。

前歯の治療では、レジン前装冠が入ります。
白い色をしていますが、自然感は出にくく、色落ちしやすいです。

深い虫歯は治療しても神経に近いため、しみる症状が出る場合があります。
ひどくなる場合は、やむを得ず神経を取らなければならない場合があります。
神経まで感染している/以前神経をとっている歯の虫歯

治療回数6〜8回
根管治療
感染した歯質を削除し、ファイルという器具にて感染した神経も取り除きます。
そして、根の中に感染した歯質を削除し、根の中を消毒します。


銀の金属土台を使用します。 金属が溶け、歯を黒化させたり、虫歯の原因となります。
また、金属の強度により歯根が割れてしまう事もあります。


[奥歯]
審美的ではない銀歯が入ります。
国外では使用されていない日本独特の金属です。
精度が落ちるため、歯と金属との間に隙間が出来やすいです。
[前歯]
奥歯と同じ銀歯の表面にコンポジットレジンを貼り付けた冠が入ります。
一応、歯に合わせますが、天然歯に近い色は出ません。
数年で着色、色落ちしやすいです。

[奥歯]
金属を使用する場合は体に親和性のある貴金属を使用します。あるいは、金属を全く使用しないで、審美性に優れている冠を入れることが可能です。
治療方法
・白金加金クラウン
・フルジルコニアクラウン
・オールセラミッククラウン
・メタルボンドクラウン
[前歯]
・形・色など希望に合わせて作製
・ジルコニアセラミッククラウン
・メタルボンドクラウン
・オールセラミッククラウン
保存不可能な虫歯(C4)
保存不可能なため抜歯となります。

治療回数4〜5回
ブリッジ
抜歯後、両隣在歯を削ってブリッジという冠を被せます。
両隣在歯が健康な歯の場合、健康な歯を削ってしまうという欠点が
あります。元々、両隣在歯に金属が入っている時は良いと思います。
ブリッジに関しては保険と自費があります。

治療回数4〜5回
入れ歯
抜歯後に取り外しの出来る入れ歯を入れます。
取り外しのため違和感があり、咬む力が弱いです。
入れ歯に関しては、保険と止め金が見えない様な自費のものがあります。
「入れ歯」について詳しくはこちら >>

治療回数3〜12ヶ月
インプラント
抜歯後に人工歯根を顎に埋入して、その上に自然感のある冠を入れます。
審美的・機能的にも一番天然歯に近い状態となります。
「インプラント」について詳しくはこちら >>
虫歯の治療方法の概要を示したものであり、実際の治療では、歯や歯肉の状態により、治療方法・回数がが異なる事があります事を、ご了承ください。
虫歯の予防について
虫歯は、原因菌(強弱および活動性)、食生活(主に砂糖摂取)、歯の質(強弱)という3要素が絡み合って起こる病気です。
これら全ての要素が理想的な場合、理論的には虫歯は起こりません。
虫歯の予防法には次のようなものがあります
- ブラッシング(歯磨き):原因菌の減少、清掃
- 食生活改善(砂糖摂取制限):原因菌のエネルギー源を断つ (キシリトールガムの摂取
- フッ素の使用:歯質の強化
- PMTC(歯のクリーニング):ブラッシングで落とせない歯垢(バイオフィルム)の除去
- 3DS:虫歯菌の口腔内から除菌
「PMTC」について詳しくはこちら >>
「3DS」について詳しくはこちら >>
以上の予防法が完全に行われれば、虫歯の発生率は半分以下になることはすでに証明されています。
しかし、ほとんど自己管理にまかせている現状では、完全に行われているとは言えません。
当院で行っている予防管理システムは、スウェーデンにおいて驚異的な虫歯の減少をもたらした方法です。現在、大勢の方々が定期的に通っておられます。
1.初期の虫歯:ダイアグノデント(初期虫歯診断器)により早期の診断をし、フッ化物の塗布により進行停止を図る
2.虫歯になっていない歯:フッ素塗布し、歯質を強化させる
3.虫歯にかかりやすい可能性のある歯:奥の歯の溝が深いものなどにはシーラント(予防充填:歯は削らない)
4.食事指導(甘味制限など)を含めた口腔衛生指導
5.家庭でのフッ素洗口(毎日法)フッ素入り歯磨剤による歯質の強化
6.PMTCにてブラッシングでは落とせない歯垢(バイオフィルム)の除去および、フッ素塗布
7.3DSにて虫歯菌の多い方は、口腔内から除去。
以上のようなことを定期検診(3ヶ月毎)の度に行ないます。

理想的には虫歯のできていない、なるべく低年齢(1歳くらい)から開始するのが望ましいのですが、残念ながら虫歯ができてから歯科医院を訪れるという今の状況では、治療に訪れた機会にこのような形でしか、お知らせする方法がありません。
もし、このような予防法を、積極的に取り入れようと思われる方は、詳しい内容をお話しいたしますので、お気軽にお尋ねください。
虫歯の唾液検査を受けられると、より効果的な虫歯予防方法を提案できます。